最終更新: 2026年7月13日
光熱費の上昇や結露・断熱性能への関心から、専有部の窓の内側にもう1枚窓を追加する「内窓(二重窓)」の設置を検討する区分所有者が増えています。窓は共用部分として扱われるのが一般的なため、区分所有者が単独で工事をしてよいのか迷う場面ですが、内窓は既存のサッシに手を加えない限り専有部分側の工事として扱われるケースが多く、管理組合の許可が不要な場合もあります。一方で、窓そのものを交換する「一斉交換工事」は共用部分の変更にあたり、決議区分の確認が必要です。標準管理規約が定める仕組みと、2026年度の補助金制度「先進的窓リノベ2026事業」の活用ポイントを整理します。
内窓の設置は、既存の窓サッシ・ガラスに一切加工を加えず、室内側にもう1枚窓を追加するだけの工事であれば、専有部分側の工事として扱われ、管理組合の許可が不要なケースが多いとされています。ただし取り扱いはマンションごとの管理規約・使用細則によって異なるため、着工前に管理規約の内容と、管理会社への事前確認・工事申請の要否を確かめておく必要があります。これに対し、既存の窓サッシ・ガラスそのものを交換する「一斉交換工事」は共用部分の変更にあたり、標準管理規約のコメントでは軽微な交換は普通決議事項として例示されていますが、建物の外観・構造に大きな影響を与える場合は特別決議が必要になることもあります。2016年の標準管理規約改正では、防犯・防音・断熱性能の向上を目的とした窓改修について、細則で条件を定めておけば総会決議を経ずに区分所有者が個別負担で実施できる仕組み(第22条)も整備されています。あわせて2026年度は「先進的窓リノベ2026事業」により内窓設置・外窓交換への補助が受けられますが、予算上限に達し次第受付終了となる制度である点に注意が必要です。
マンションの窓まわりのリフォームには、主に次の2つのパターンがあります。
この2つは「既存の共用部分に手を加えるかどうか」という点で法的な扱いが大きく異なります。内窓設置は既存サッシを残したまま室内側に追加するだけの工事であるため専有部分側の工事として扱われやすいのに対し、窓交換は共用部分そのものへの変更にあたります。
区分所有法・標準管理規約では、専有部分は「住戸内部で区分所有者が単独で使用する部分」、共用部分は「建物の躯体・外壁・窓サッシなど全員で共有する部分」と整理されています。玄関ドアや窓サッシ・窓ガラスは、外壁と一体になった建物の構造物であることから、多くのマンションで共用部分(区分所有者に専用使用権が認められた共用部分)として管理規約に定められています。このため、既存の窓サッシ・ガラスを区分所有者が単独の判断で交換することは、原則としてできません。
一方、内窓は既存のサッシの内側に新設するもので、共用部分である既存サッシ自体には手を加えません。この違いにより、内窓設置は専有部分の工事として扱われるのが一般的です。
内窓設置が専有部分側の工事として扱われる場合、管理組合への許可申請が不要とされるケースも少なくありません。ただし、次の点は着工前に必ず確認しておく必要があります。
管理規約でリフォーム全般に事前届出を義務づけているマンションも多いため、「専有部分の工事だから届出不要」と自己判断せず、管理会社に事前相談したうえで進めるのが実務上の安全な進め方です。
2016年の標準管理規約改正では、第22条に「窓ガラス等の改良」に関する規定が新設されました。本来、共用部分である窓サッシ・ガラスの改良工事は管理組合が計画的に実施すべきものですが、管理組合として速やかに実施することが難しい場合に備え、次の仕組みが整理されています。
この仕組みが使用細則に整備されているマンションでは、区分所有者は総会決議を待たずに断熱リフォームを進めることができます。細則が未整備の場合は、まず理事会・総会で使用細則の制定を検討することが前提になります。
管理組合が計画修繕として窓サッシ・ガラス・玄関扉等を建物全体で一斉に交換する場合は、共用部分の変更として区分所有法上の決議が必要です。
実際にどちらの決議区分に該当するかは工事内容によって個別に異なるため、管理会社・設計コンサルタントに確認したうえで総会に諮る流れになります。
2026年度は、国の補助制度「先進的窓リノベ2026事業」(令和7年度補正予算・予算規模1,125億円)により、内窓設置を含む窓・ドア関連工事に補助金が交付されています。管理組合として押さえておきたいポイントは次のとおりです。
個人の専有部での内窓設置に活用する場合も、管理組合として建物全体の断熱改修を検討する場合も、制度の対象工事・対象等級・予算状況は年度ごとに変わるため、着工前に登録事業者・環境省の公式情報で最新の要件を確認してください。
Q: 内窓を設置する前に管理組合への届出は必要ですか。
A: 既存の窓サッシに手を加えない内窓設置であれば専有部分の工事として届出不要とされるケースもありますが、管理規約でリフォーム全般に事前届出を義務づけているマンションも多いため、着工前に管理規約を確認し、管理会社に事前相談することをおすすめします。
Q: 窓の一斉交換工事はどの決議区分が必要ですか。
A: 既存と同等の仕様での一斉交換は計画修繕として普通決議で対応できる例が多いとされていますが、開口部の形状変更や外観の大きな変更を伴う場合は特別決議が必要になることがあります。工事内容によって個別に異なるため、管理会社・設計コンサルタントへの確認が必要です。
Q: 先進的窓リノベ2026事業はいつまで申請できますか。
A: 明確な申請期限は定められておらず、予算上限に達し次第受付終了となる制度です。年度途中で締め切られる可能性があるため、活用を検討する場合は早めに登録事業者・管理会社に相談してください。
内窓設置は既存の窓サッシに手を加えない限り専有部分側の工事として扱われ、管理組合の許可が不要なケースもありますが、取り扱いは管理規約・使用細則によって異なるため事前確認が欠かせません。窓そのものを一斉交換する工事は共用部分の変更として決議が必要で、工事内容に応じて普通決議・特別決議のいずれに該当するかを管理会社・設計コンサルタントに確認する必要があります。2016年の標準管理規約改正で整備された使用細則による個別対応の仕組みや、2026年度の先進的窓リノベ2026事業の補助制度もあわせて確認しておくと、断熱改修の検討を進めやすくなります。
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