最終更新: 2026年7月10日
「駐車場の使い方を細かく決めたい」「リフォーム申請の書式を整えたい」など、使用細則の見直しは理事会で比較的よく出てくるテーマです。ただし、使用細則の変更と管理規約本体の改正を混同したまま総会に諮ると、必要な決議要件を誤り、決議の有効性が問題になるおそれがあります。
使用細則は管理規約の下位規定として、駐車場・ペット飼育・リフォーム申請などの細かい生活ルールを定めるものです。管理規約本体の変更が区分所有法第31条に基づき区分所有者及び議決権の各4分の3以上の特別決議を必要とするのに対し、使用細則の制定・変更・廃止は原則として区分所有者及び議決権の各過半数の普通決議で足ります。見直しを検討する際にまず確認すべきは、変更したい内容が規約本体の事項なのか、使用細則の事項なのかという切り分けです。この切り分けを誤ると、普通決議で処理した変更が後から無効を主張されるリスクがあるため、判断に迷う場合はマンション管理士・弁護士等の専門家に確認することをおすすめします。
管理規約は区分所有法に基づき、建物・敷地・附属施設の管理や区分所有者間の権利義務関係の根幹を定める文書です。これに対し使用細則は、管理規約の委任を受けて、駐車場の使用方法、ペット飼育の条件、リフォーム申請の手続き、専有部の使用制限といった、より具体的で実務的なルールを定めるものと位置づけられます。国土交通省のマンション標準管理規約でも、細目的な事項は使用細則に委任する構成が採られており、多くのマンションがこの構成に沿った規約・細則を備えています。
管理規約本体の設定・変更・廃止は区分所有法第31条に基づき、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の特別決議が必要です。一方、使用細則の制定・変更・廃止は、管理規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数の普通決議で行うことができるとされています。実務上もっとも判断に迷うのは、「これは使用細則の変更で済むのか、それとも管理規約の改正にあたるのか」という区別で、判断を誤って本来特別決議が必要な事項を普通決議で決めてしまうと、後日決議の有効性を争われるリスクがあります。見直しを検討する条文が、管理規約のどの条項に基づいて定められているかを必ず確認することが実務上の出発点になります。
使用細則の見直しは、まず現行の細則を条文単位で点検し、実態と合わなくなっている規定(例: 台数が変わった駐車場のルール、リフォーム申請の様式が古いままになっている等)を洗い出すところから始めます。次に、変更したい内容が使用細則の範囲に収まるか、管理規約側の委任条項と照らして確認します。理事会で改定案を作成したら、住民への周知期間を設けたうえで総会に諮ります。使用細則は普通決議で足りるとはいえ、生活ルールの変更は住民の関心が高いテーマのため、変更理由や影響範囲をあらかじめ丁寧に説明しておくと、総会での合意形成がスムーズになります。
使用細則の見直しのつもりで検討を始めても、実際には管理規約本体の改正が必要になるケースがあります。例えば、専有部の用途制限(住居専用か否か)、議決権割合の考え方、管理費・修繕積立金の負担割合の算定方法といった事項は、多くの管理規約で規約本体に定められており、これらに手を加える場合は特別決議が必要です。使用細則の改定案を作成する段階で、規約本体の条文に抵触する内容が含まれていないかをあわせて確認しておくと、決議後になって手続きのやり直しが必要になる事態を避けやすくなります。
Q: 使用細則の見直し案は誰が作成するのが一般的ですか。
A: 理事会が中心となって改定案を作成し、管理会社に事務局として資料作成を依頼するケースが多く見られます。内容によっては、マンション管理士等の専門家に案文の確認を依頼する管理組合もあります。
Q: 使用細則の変更に反対する住民がいる場合、どう進めればよいですか。
A: 普通決議は出席者の議決権の過半数で成立するため、手続き上は反対があっても決議自体は可能です。ただし住民間の関係を考えると、変更理由の説明や意見聴取の機会を事前に設け、合意形成に努める進め方が実務上望まれます。
Q: 古い使用細則が管理規約の現行条文と矛盾している場合はどうすればよいですか。
A: 過去の規約改正に伴い使用細則の更新が漏れているケースは珍しくありません。矛盾を見つけた場合は、どちらが現行の正しいルールかを理事会で確認したうえで、使用細則側を規約に合わせて速やかに整合させることが望まれます。
使用細則の見直しは、管理規約本体の改正(特別決議)と混同しないよう、まず変更したい内容がどちらの規定に属する事項かを確認することが出発点です。使用細則の制定・変更は原則として普通決議で行えますが、規約本体に抵触する内容が含まれていないかの確認と、住民への丁寧な説明を欠かさないことが、円滑な合意形成につながります。判断に迷う場合は、マンション管理士・弁護士等の専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
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