管理組合の教科書

新築マンションの瑕疵担保責任とアフターサービス保証の違い|10年保証の範囲と管理組合が確認すべきこと

最終更新: 2026年7月14日

新築マンションの引き渡し後、共用部分に不具合が見つかったときの保証には「瑕疵担保責任(品確法)」と「アフターサービス保証」という、名前が似ていますが法律上の位置づけが異なる2つの制度が関わります。前者は法律で義務づけられた強行規定、後者は分譲会社が独自に定める任意のサービスです。両者の範囲・期間の違い、引き渡し後の点検スケジュール、資力確保のための保険・供託の仕組み、管理組合が確認しておくべきことを整理します。

結論

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」(基礎・柱・梁など)と「雨水の浸入を防止する部分」(屋根・外壁の防水など)について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を売主に義務づける強行規定です。特約でこれを短縮することはできず、逆に20年まで延長する特約は可能です。一方、それ以外の内装・設備・共用部の仕上げ等は、分譲会社が独自に定める「アフターサービス基準」に基づく任意の保証で、期間は項目ごとに2年〜5年程度が一般的とされ、契約不適合責任としての期間は引き渡し後2年程度に設定されるのが通例です。管理組合の実務上の役割は、①引き渡し時に受け取ったアフターサービス基準書を保管し点検スケジュール(3ヶ月・半年・1年・2年など)を把握すること、②2年目の点検が任意保証の無償修繕を受けられる最後の機会になりやすい点を理事会・住民へ周知すること、③万一分譲会社が倒産した場合に備えた住宅瑕疵担保履行法上の保険金・供託金の請求は各区分所有者からの個別委任が必要になる点を理解しておくことに整理できます。

瑕疵担保責任(品確法)とは

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」という用語は「契約不適合責任」に整理されましたが、新築住宅の構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分に関しては、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)第94条・第95条により、引き渡しから10年間、売主が無償の修補・損害賠償責任を負うことが引き続き義務づけられています。実務上はこの部分を指して「瑕疵担保責任」という呼称が使われ続けています。対象となる部分は限定的で、基礎・柱・梁・床・屋根などの構造耐力上主要な部分と、屋根・外壁などの雨水の浸入を防止する部分に限られ、内装・設備等は含まれません。この10年間の義務は強行規定のため、契約で短縮する特約は無効ですが、売主の合意があれば20年まで延長する特約は可能です。

アフターサービス保証との違い

アフターサービス保証は、法律上の義務ではなく分譲会社(デベロッパー)が独自に定める任意のサービスです。多くの分譲会社は「アフターサービス基準」という文書を用意しており、共用部分についても構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分は品確法と同水準の基準で無償修繕の対象とする一方、それ以外の項目(内装のクロスや建具、給排水管などの設備、外壁の塗装や鉄部のさびといった共用部の仕上げなど)は、項目ごとに期間が個別に設定されているのが一般的です。目安として、給排水管等の設備は5年程度、それ以外の内装・建具・仕上げ等は2年程度とされることが多いとされますが、この期間・対象範囲は分譲会社ごとに異なるため、引き渡し時に交付されるアフターサービス基準書で必ず個別に確認する必要があります。

引き渡し後の点検スケジュールと2年目点検の重要性

分譲会社は引き渡し後、一定の時期に定期点検を実施するのが一般的です。時期の設定は分譲会社によって異なりますが、「3ヶ月後・1年後・2年後」または「半年後・1年後・2年後」といった組み合わせが多く見られます。この点検では専有部分だけでなく共用部分(コンクリートのひび割れ、鉄部のさび、塗装の剥がれなど)も対象になります。実務上とくに重要なのが2年目の点検です。多くの内装・設備関連のアフターサービス保証は2年で終了するため、2年目点検はそれらの項目を無償で修繕してもらえる最後の機会になりやすいとされています。理事会は、引き渡し時に受け取ったアフターサービス基準書と点検スケジュールを管理組合の書類として保管し、点検時期が近づいたら住民に不具合の申告を呼びかけることが実務上の役割になります。

分譲会社の倒産に備えた資力確保措置

新築住宅の売主(宅地建物取引業者・建設業者)には、住宅瑕疵担保履行法により、平成21年(2009年)10月1日以降に引き渡す新築住宅について「保険への加入」または「保証金の供託」のいずれかによる資力確保措置が義務づけられています。これは、品確法上の10年間の瑕疵担保責任について、万一売主が倒産するなどして修補に応じられなくなった場合でも、住宅取得者が保険金の直接請求権や供託金の還付請求権を行使して補修費用等を確保できるようにする制度です。

ここで管理組合として押さえておくべき重要な注意点があります。マンションなど区分所有建物の共用部分について、この保険金の直接請求権や供託金の還付請求権を管理組合の管理者(理事長)が区分所有者を代理して行使しようとする場合、管理規約の定めや総会決議だけでは代理権の根拠として不十分とされており、権利者である各区分所有者からの個別の委任が必要になります。実際に資力確保措置を利用する事態が生じた場合は、早い段階で保険法人・供託所や専門家に相談し、委任の取り方を確認することが実務上重要です。

管理組合が確認できること

誤解しやすい点

よくある質問

Q: 品確法の10年保証とアフターサービス保証は、どちらも分譲会社が同じ基準で対応してくれるのですか。

A: いいえ、別の制度です。品確法の10年間は構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分に限った法律上の義務で、それ以外の項目はアフターサービス基準に基づく分譲会社独自の任意保証となり、期間・対応も分譲会社ごとに異なります。

Q: 2年目点検を逃してしまった場合、それ以降は一切無償修繕を受けられませんか。

A: 内装・設備等のアフターサービス期間が過ぎている場合、その部分の無償修繕は難しくなりますが、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に関わる不具合であれば、品確法上の10年間の期間内は別途相談できる可能性があります。個別の状況は管理会社や専門家に確認してください。

Q: 分譲会社が倒産した場合、管理組合が代表して保険金を請求できますか。

A: 管理規約の定めや総会決議だけでは代理権の根拠として不十分とされており、権利者である各区分所有者からの個別の委任が必要です。実際にそうした事態が生じた場合は、早めに保険法人や専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

新築マンションの保証には、品確法により義務づけられた構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分の10年間の瑕疵担保責任と、分譲会社独自の任意のアフターサービス保証という、範囲も期間も異なる2つの制度があります。管理組合の実務上の役割は、引き渡し時のアフターサービス基準書を保管し点検スケジュールを住民へ周知すること、とくに多くの保証が終了しやすい2年目点検を活用すること、万一の分譲会社倒産に備えた資力確保措置と代理請求に必要な個別委任の仕組みを理解しておくことに整理できます。

この記事について 本記事は、新築マンションの瑕疵担保責任とアフターサービス保証の違いを紹介する目的で作成しています。個別の不具合が保証対象に該当するかどうかの判断・保険金や供託金の請求手続きについては、分譲会社・管理会社・マンション管理士・弁護士に個別にご確認ください。
最終確認日: 2026年7月14日 / 参照: 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条・第95条、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)、国土交通省公表資料、住宅瑕疵担保責任保険協会公表情報ほか公表情報

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