管理組合の教科書

受水槽・貯水槽の点検・清掃|管理組合が確認する頻度と義務

最終更新: 2026年7月9日

受水槽・高置水槽を経由して各住戸に給水する「受水槽方式」のマンションでは、水道法に基づく点検・清掃が法律上求められる場合があります。管理会社が手配を代行しているケースが多いものの、頻度や費用の妥当性、記録の保管状況を理事会が把握できていない管理組合も見られます。確認すべきポイントを一般的な考え方として整理します。

結論

受水槽の有効容量が10立方メートルを超える場合は「簡易専用水道」に該当し、水道法により年1回以上の清掃と、地方自治体または国の登録検査機関による年1回以上の水質・施設検査が義務付けられます。10立方メートル以下の「小規模受水槽水道」は法律上の直接義務ではなく都道府県・市区町村の条例・指導要綱による管理が一般的なため、まず自分のマンションの受水槽容量と、どちらの区分に該当するかを確認することが実務の出発点になります。

受水槽方式と直結増圧方式の違い

マンションへの給水方式には、水道本管の水圧をそのまま利用する「直結直圧方式」、増圧ポンプで圧力を補う「直結増圧方式」、そして水道水を一度受水槽に貯めてからポンプで各戸へ送る「受水槽方式」があります。受水槽方式は停電時にもポンプ用電源を確保できれば一定量の給水を継続できる利点がある一方、水を貯留する構造上、定期的な清掃・点検を行わないと水質が劣化しやすいという性質があります。築年数の古いマンションほど受水槽方式を採用している割合が高い傾向があります。

簡易専用水道に該当する場合の法定義務

水道法第34条の2および関連省令により、受水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超える施設は「簡易専用水道」に区分され、次の義務が課されます。

これらの義務は建物の所有者(区分所有建物では管理組合)が負うため、管理会社に業務委託している場合でも、実施の有無を最終的に確認する責任は管理組合側にあります。

10立方メートル以下の場合の扱い

受水槽の有効容量が10立方メートル以下の場合は水道法上の簡易専用水道には該当せず、国の法律による検査義務は課されません。ただし、多くの都道府県・市区町村では「小規模受水槽水道」として条例や指導要綱に基づく管理基準を独自に定めており、簡易専用水道に準じた清掃・点検を求めている自治体が一般的です。該当するかどうかは所在自治体の水道担当窓口(水道局・環境衛生課等)に受水槽の容量を伝えて確認するのが確実です。

点検・清掃の実務と記録の保管

清掃は専門業者が受水槽内部の洗浄・消毒を行い、検査は登録検査機関が外観・水質・書類(清掃記録等)を確認する形が一般的です。検査結果は検査済証や報告書として交付され、水道法上、この記録は一定期間保存し、求められれば提示できるようにしておく必要があります。管理組合としては、実施日・業者名・検査結果の保管場所を理事会で把握し、役員交代の際の引継ぎ資料に含めておくと、記録の紛失や実施漏れを防ぎやすくなります。

費用の目安

清掃・検査の費用は受水槽の容量・構造・アクセスのしやすさによって幅がありますが、一般的な中規模マンションでは清掃と法定検査を合わせて年間数万円から十数万円程度が目安とされています。管理委託契約に含まれている場合と、別途契約になっている場合があるため、管理委託契約書の業務範囲に受水槽清掃・法定検査が明記されているか、含まれていない場合は誰がどのタイミングで発注しているかを確認しておくことが実務上のポイントです。

直結増圧方式への切替を検討する場合

受水槽の老朽化に伴う更新時期や、清掃・検査コストの負担を理由に、直結増圧方式への切替を検討する管理組合もあります。切替には水道局の給水能力の確認、増圧ポンプの設置スペース、初期費用の負担が必要になるため、長期修繕計画の見直し時期にあわせて水道局・設備業者に相談しながら検討するのが一般的な進め方です。

誤解しやすい点

よくある質問

Q: 受水槽の容量はどこで確認できますか。

A: 設備図面や重要事項調査報告書に記載されていることが多く、不明な場合は管理会社や設備点検業者に確認できます。容量が10立方メートルに近い場合は区分の判定に影響するため、正確な数値を確認しておくことが大切です。

Q: 法定検査に不合格だった場合はどうなりますか。

A: 指摘事項について改善措置を行い、再検査や是正報告を求められるのが一般的な流れです。指摘内容によっては清掃頻度の見直しや設備の補修が必要になる場合があります。

Q: 検査記録が見当たらない場合はどうすればよいですか。

A: まず管理会社に過去の実施記録の有無を確認し、無い場合は検査機関に依頼歴が残っていないか照会する方法があります。今後の管理のために、以後の記録は理事会で一元管理する運用に切り替えることが望まれます。

まとめ

受水槽・貯水槽方式のマンションでは、容量が10立方メートルを超えると水道法上の簡易専用水道として年1回以上の清掃・検査が義務付けられます。管理会社への委託の有無にかかわらず、実施記録の保管と確認は管理組合側の責任であるため、管理委託契約書の業務範囲・検査記録の保管場所を理事会で把握しておくことが実務上の要点になります。

この記事について 本記事は、受水槽・貯水槽の点検・清掃に関する一般的な仕組みを紹介する目的で作成しています。義務の該当区分や自治体の指導内容は建物の構造・所在自治体・時期によって変わるため、実際の対応にあたっては所在自治体の水道担当窓口、管理会社、専門業者へ個別に確認してください。
最終確認日: 2026年7月9日 / 参照: 水道法、水道法施行規則関連資料

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