管理組合の教科書

マンションの避雷設備(避雷針)点検|法定点検ではない理由と点検周期の考え方

最終更新: 2026年7月11日

高さ20mを超えるマンションの屋上には、避雷針を含む避雷設備が設置されているのが一般的です。設置自体は建築基準法で義務付けられていますが、その後の「点検」については消防設備点検やエレベーター点検のような法定点検の対象になっていません。義務ではないからこそ管理組合の判断で見落とされやすい設備でもあります。点検が推奨される理由と、管理組合が確認しておきたい実務ポイントを整理します。

結論

建築基準法第33条により、高さ20mを超える建築物には避雷設備の設置が義務付けられています(周囲の状況により安全上支障がない場合を除く)。しかし避雷設備そのものの定期点検は、建築基準法第12条に基づく特定建築物定期調査・建築設備定期検査・エレベーター定期検査・消防設備点検などの法定点検一覧には含まれておらず、法律上の点検義務はありません。それでも日本産業規格(避雷設備に関するJIS規格)では、接地抵抗の測定や接続部・断線箇所の点検を年1回以上行うことが規格上の基準として示されており、設置から年数が経過した避雷設備は腐食・断線・接続不良が進んでいても外観からは分かりにくいという実務上の課題があります。落雷時に避雷設備が本来の保護機能を果たせないと、屋上設備や共用部の電気設備に被害が及ぶおそれがあるため、義務ではなくても専門業者による定期点検を長期修繕計画に組み込んでおくことが実務上の要点です。

避雷設備の設置義務と点検義務は別物

避雷設備をめぐる法律上のルールは「設置義務」と「点検義務」で扱いが異なります。設置義務は建築基準法第33条に定められており、高さ20mを超える建築物には避雷設備を設けなければならないとされています(周囲の状況によって安全上支障がない場合を除く)。設備の構造についても建築基準法施行令第129条の14・第129条の15に基準が定められており、雷撃電流を安全に地中へ流せる構造であること、腐食しやすい部分には腐食防止の措置を講じることなどが求められます。一方で、設置後の点検については、建築基準法第12条に基づく定期点検報告制度(特定建築物定期調査・建築設備定期検査・エレベーター定期検査・簡易専用水道管理状況調査など)の対象設備一覧に避雷設備は通常含まれていません。消防設備点検(消防法)のように点検・報告が法律で義務付けられている設備とは、この点で扱いが異なります。

法定点検でなくても点検が推奨される理由

避雷設備の点検自体に法律上の実施義務はありませんが、日本産業規格では避雷設備について年1回以上の定期点検を行うことが規格上の基準として示されています。点検項目としては、突針や導線の腐食・破損の有無、各接続部の緩みや外れ、接地抵抗値の測定などが挙げられます。避雷設備は屋外に露出した状態で長期間風雨にさらされるため、経年で腐食や断線が進んでも、目視だけでは劣化に気づきにくいという特徴があります。万一、機能が低下した状態で落雷を受けると、雷撃電流を適切に地中へ逃がせず、屋上の受信設備や共用部の電気設備、場合によっては専有部の設備にまで被害が及ぶおそれがあります。法定点検ではないからこそ「点検の要否」自体が管理組合の判断に委ねられている設備であり、意識的に確認しておく必要があります。

管理組合が確認しておきたいポイント

避雷設備専門の点検業者は消防設備業者や電気設備業者と重なる場合もあれば、専業の業者に依頼する場合もあります。点検費用の相場は建物の規模・避雷設備の構成によって幅があり、一律の目安が確立されているわけではないため、複数の専門業者から見積もりを取って比較することが実務上の進め方になります。

誤解しやすい点

よくある質問

Q: 避雷設備の点検は法律で義務付けられていますか。

A: 避雷設備の「設置」は建築基準法第33条により高さ20m超の建築物に義務付けられていますが、設置後の「点検」については建築基準法第12条の定期点検報告制度の対象に含まれておらず、法律上の点検義務はありません。

Q: それでも点検した方がよいのはなぜですか。

A: 日本産業規格では避雷設備について年1回以上の点検が規格上の基準として示されています。屋外に露出した設備のため経年劣化に気づきにくく、機能低下したまま落雷を受けると設備被害につながるおそれがあるためです。

Q: 自分のマンションに避雷設備が設置されているか分かりません。どう確認すればよいですか。

A: 建物の高さが20mを超えていれば設置義務の対象になります。設計図書・建築確認済証で高さを確認するか、管理会社・設備業者に問い合わせて確認する方法があります。

まとめ

避雷設備は建築基準法上の設置義務がある一方、点検については消防設備点検のような法定点検の対象になっておらず、実施の要否は管理組合の判断に委ねられています。規格上は年1回以上の点検が基準として示されており、屋外設備という性質上、経年劣化に気づきにくい点を踏まえると、長期修繕計画に点検・改修費用を組み込み、専門業者から定期的に点検を受けておくことが実務上の要点です。

この記事について 本記事は、マンションの避雷設備点検に関する一般的な考え方を紹介する目的で作成しています。設置義務の該非判断・点検の要否・費用は建物ごとの事情によって異なるため、実際の検討にあたっては設備業者・管理会社、必要に応じて建築士等の専門家へ確認してください。
最終確認日: 2026年7月11日 / 参照: 建築基準法第33条・同施行令第129条の14・129条の15、建築基準法第12条定期点検報告制度

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