最終更新: 2026年7月13日
エレベーターの閉じ込めは、大地震のときだけでなく、停電や機器の一時的な不具合でも起こり得ます。管理組合としては「保守契約を結んでいるから安心」で終わらせず、閉じ込めが起きる仕組みと、実際に発生したときの対応の流れを理解しておくことが実務上のポイントです。地震時管制運転装置の役割と設置義務化の経緯、閉じ込められたときの対処法、保守会社の駆けつけ目安、管理組合が確認しておきたいことを整理します。
エレベーターの閉じ込めが起きる主な原因は、地震による地震時管制運転装置の作動、停電、機器の一時的な不具合の3つです。地震時管制運転装置は2009年9月28日施行の建築基準法改正で新設エレベーターへの設置が義務化されましたが、既存不適格の考え方により、それ以前に設置されたエレベーターに遡及して設置義務が生じるわけではないため、自分のマンションのエレベーターに装置があるかどうかは保守会社に個別に確認する必要があります。閉じ込められた場合は、かご内の非常用インターホン・非常呼び出しボタンで外部に連絡し、扉をこじ開けようとせず救助を待つのが基本です。救出は原則として保守会社が行い、大規模災害時に保守会社の到着が著しく遅れる場合などは消防が対応することもあります。管理組合としては、保守契約の緊急対応内容(駆けつけ目安時間・休日夜間対応の有無)、備蓄ボックスの設置、防災訓練へのエレベーター閉じ込め想定の組み込みを確認しておくことが実務上の備えになります。
エレベーターの閉じ込めは、大きく分けて次の3つの場面で起こります。
地震時管制運転装置は、地震発生時にエレベーターを自動的に最寄り階に停止させ、乗客を安全に降ろすための装置です。初期微動(P波)を感知した段階で最寄り階に停止・扉を開き、その後により大きな揺れである本震(S波)を感知すると、機器の損傷拡大を防ぐためエレベーターの運転を休止し、技術者の点検を受けるまで復帰しない仕組みになっています。
この装置は、2009年9月28日施行の建築基準法改正により、新設するエレベーターへの設置が義務化されました。ただし、建築基準法では新しい技術基準ができても既存の建物・設備には原則として遡及適用されない「既存不適格」の考え方があるため、2009年9月28日より前に設置されたエレベーターについては、装置がなくても直ちに法違反になるわけではありません。国土交通省は既存エレベーターへの改修促進を呼びかけていますが、義務そのものは生じていないマンションも少なくないとされています。自分のマンションのエレベーターに地震時管制運転装置が搭載されているかどうかは、設置年やメーカーによって異なるため、保守会社・管理会社に確認するのが確実です。
実際に閉じ込められた場合の基本的な対応は次のとおりです。
エレベーターかご内に閉じ込められた人の救出は、原則としてエレベーターの保守会社が行います。ただし、大規模災害の発生時などで保守会社の技術員の到着が著しく遅延する場合や、要救助者の状況から緊急を要する場合には、消防本部・消防署が対応できる範囲で救出活動を行う制度も整えられています。
通常時(大規模な災害があちこちで同時発生していない状況)であれば、保守点検会社は連絡を受けてから20〜30分程度で現地に到着するのが一般的な目安とされています。一方、大規模地震などの広域災害時は、多数のエレベーターで同時に閉じ込めが発生し、道路状況の悪化も重なるため、復旧・救出までに数時間から数日を要するケースも報告されています。この駆けつけ目安は保守会社・契約内容・マンションの立地によって差があるため、正確な対応時間は契約している保守会社に確認する必要があります。
Q: エレベーターに地震時管制運転装置が付いているか、どうすれば分かりますか。
A: かご内の操作盤に表示がある場合もありますが、確実に確認するには保守会社・管理会社に問い合わせるのが確実です。設置年やメーカー・機種によって有無が異なります。
Q: 閉じ込め対応の駆けつけ時間は保守契約書に明記されていますか。
A: 契約書に具体的な時間数値が明記されているとは限らず、契約内容によって記載の有無・表現が異なります。緊急対応の目安時間や休日夜間の対応体制については、契約更新時に保守会社へ個別に確認することをおすすめします。
Q: 地震時管制運転装置は後付けできますか。
A: 機種・建物の状況によって可否や費用感が異なります。後付けを検討する場合は、保守会社・エレベーターメーカーに現地調査のうえで見積もりを依頼し、長期修繕計画への組み込みを含めて理事会で検討することになります。
エレベーターの閉じ込めは地震だけでなく停電・機器不具合でも起こり得ます。地震時管制運転装置は2009年9月28日施行の建築基準法改正で新設エレベーターに義務化されましたが、既存不適格により遡及義務はなく、装置の有無はマンションごとに異なります。閉じ込められた場合は非常用インターホンで連絡し救助を待つのが基本で、救出は原則保守会社、大規模災害時は消防が対応することもあります。管理組合としては、保守契約の緊急対応内容・地震時管制運転装置の有無・備蓄ボックスの設置・防災訓練への組み込みを確認しておくことが実務上の備えになります。
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