管理組合の教科書

団地型マンションと単棟型の違い|団地総会・棟総会の二層構造と管理組合が確認すべきこと

最終更新: 2026年7月14日

マンションの管理組合運営は「1棟=1管理組合」の単棟型を前提に語られることが多いですが、複数棟が同じ敷地や附属施設を共有する「団地型」では、意思決定の仕組み自体が単棟型と根本的に異なります。団地総会と棟総会という二層構造、議決権の計算基準の切り替え、建替え・敷地分割の決議構造など、団地型特有の実務ポイントを整理します。

結論

団地型マンションは、区分所有法65条により「一団地内に数棟の建物があり、団地内の土地または附属施設がそれらの建物の所有者の共有に属する場合」に成立する「団地関係」を基礎とします。単棟型が1つの総会で完結するのに対し、団地型では団地共用部分・土地に関する事項を決める団地総会と、特定の棟に固有の事項(義務違反者への措置・当該棟のみの復旧工事・棟単独の建替え決議など)を決める棟総会が並立する二層構造になります。さらに議決権の計算基準も、団地総会では土地の共有持分割合、棟総会では当該棟の共用部分の共有持分というように会議体ごとに切り替わる点が実務上の要注意事項です。団地規約を新たに設定・変更する場合は、各棟でそれぞれ区分所有者・議決権の各4分の3以上の決議(区分所有法68条)に加え、団地建物所有者・議決権の各4分の3以上の決議(66条が準用する31条)の両方が必要になるなど、単棟型より手続きが重くなります。自分のマンションが団地型かどうか、どの事項がどちらの総会の権限かは、管理規約と登記関係を確認しないと分からないため、不明な場合は管理会社・マンション管理士に確認することが実務上の出発点になります。

単棟型と団地型の基本的な違い

単棟型マンションは「1棟の建物+その敷地」という単層構造で、区分所有者全員が1つの管理組合に所属し、1つの総会(通常総会・臨時総会)で意思決定が完結します。多くのマンションはこの単棟型です。

これに対して団地型マンションは、複数棟の建物が同じ敷地内に立ち、その敷地や附属施設(集会所・遊歩道・駐車場など)を棟をまたいで共有している場合に成立します。この場合、各棟の区分所有者団体(棟の管理組合に相当するもの)と、団地全体の土地・附属施設を管理する団地管理組合という、性質の異なる2つの団体が同時に存在することになります。

団地関係が成立する要件(区分所有法65条)

区分所有法65条は、団地関係が成立する要件を「一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合」と定めています。つまり、単に複数棟が同じ敷地に建っているだけでは団地関係は成立せず、その土地または附属施設が棟をまたいで共有関係になっていることが要件です。

実務上は、団地内の土地全体がすべての建物所有者の共有になっている「全敷地共有型」が最も一般的とされていますが、敷地は棟ごとに個別所有のまま附属施設(集会所・駐車場等)のみが共有になっているケースや、棟と棟の間に公道が入り込む「公道隔絶型」、複合用途型など、実際にはさまざまなパターンが存在するとされています。自分のマンションがどの類型に当たるかは、登記事項証明書や管理規約の記載を確認しないと判断できません。

団地総会と棟総会の二層構造・権限区分

団地型マンションの標準管理規約(団地型)では、団地総会と棟総会それぞれの権限が条文上区分されています。

この権限区分が規約上あいまいなまま運用されていると、本来棟総会マターの議案を団地総会にかけてしまう、あるいはその逆といった手続き上の瑕疵につながりかねません。役員に就任した際は、まず自分のマンションの管理規約が「団地型」かどうか、団地総会と棟総会それぞれの権限がどう定められているかを確認しておくことが実務の出発点になります。

議決権の計算基準の切り替え

団地型特有の分かりにくさとして、同じ区分所有者であっても、どちらの総会に出席するかによって議決権の計算基準が変わる点が挙げられます。団地総会では原則として土地の共有持分割合を基礎に議決権を計算する一方、棟総会では当該棟の共用部分の共有持分(専有面積割合が基本)を基礎に計算します。総会資料の議決権数の見方が単棟型のマンションと異なるため、団地型で理事・役員になった場合は、規約に定められた議決権の計算方法を総会前に確認しておくと、資料の見方に迷いにくくなります。

建替え・敷地分割の意思決定構造

団地型マンションの建替えは、単棟型よりも決議の組み合わせが複雑です。主な選択肢として次のようなものがあります。

いずれも要件が複雑で、通常の大規模修繕・建替えの決議とは別次元の専門的な手続きになるため、検討段階からマンション管理士・弁護士・建替えに詳しいコンサルタントへの相談が前提になります。

団地規約の設定・変更に必要な決議

団地型として運営するための団地規約を新たに設定・変更する場合、区分所有法68条により、次の決議が両方とも必要とされています。

単棟型の規約変更(区分所有者・議決権の各4分の3以上)と比べても、団地型では「各棟での決議」と「団地全体での決議」の両方をクリアする必要があるため、手続きの負担が大きくなります。規約改正を検討する場合は着手前に専門家へ相談することが実務上の前提になります。

実務上の課題

団地関係の複雑さは、日常運営にもさまざまな影響を及ぼします。

誤解しやすい点

よくある質問

Q: 自分のマンションが団地型かどうかは、どこで確認できますか。

A: 管理規約の表題や条文(「団地」「棟総会」等の記載の有無)、登記事項証明書の敷地権・共有関係の記載で確認できます。判断が難しい場合は管理会社やマンション管理士に確認するのが確実です。

Q: 団地型マンションでは理事会も棟ごとに別々になりますか。

A: 団地管理組合の理事会と、各棟の区分所有者団体の運営体制は規約によって定め方が異なります。棟ごとに独自の運営組織を置く場合と、団地管理組合の理事会が一元的に運営する場合があり、一律には言えないため、自分のマンションの規約の定めを確認する必要があります。

Q: 団地型から単棟型(または棟ごとの独立)に変更することはできますか。

A: 敷地分割制度の活用など法的な手法は存在しますが、要件が複雑で関係者の合意形成のハードルも高いとされています。検討する場合はマンション管理士・弁護士など専門家への相談が前提になります。

まとめ

団地型マンションは、区分所有法65条の団地関係を基礎に、団地総会と棟総会が並立する二層構造で運営されます。議決権の計算基準が会議体ごとに異なる点、建替え・敷地分割の決議構造が単棟型より複雑な点、団地規約の設定・変更に各棟・団地全体それぞれの4分の3以上決議が必要な点が、単棟型との大きな違いです。役員に就任した際はまず自分のマンションが団地型かどうか、団地総会と棟総会の権限区分がどう規約に定められているかを確認し、不明な点は管理会社・マンション管理士に相談することが実務の出発点になります。

この記事について 本記事は、団地型マンションと単棟型マンションの管理組合運営の違いを紹介する目的で作成しています。自分のマンションが団地型に該当するか、団地総会・棟総会の具体的な権限区分は、管理規約の記載によって異なるため、管理会社・マンション管理士に個別に確認してください。
最終確認日: 2026年7月14日 / 参照: 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)65条〜68条、マンション標準管理規約(団地型)、マンションみらい価値研究所レポート「団地管理組合の類型と現状」ほか公表情報

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