管理組合の教科書

管理組合の収支報告書の書き方と見方

最終更新: 2026年6月21日

収支報告書は、管理組合のお金の動きを示す基本資料です。しかし、会計に慣れていない理事にとっては、どこを見ればよいか分かりにくいことがあります。

結論

収支報告書は、収入、支出、差額、予算との差、残高を順番に確認すると理解しやすいです。書き方では、費目を分けすぎず、前年や予算との比較ができる形にすることが大切です。

1. 収入は種類ごとに分ける

管理組合の収入には、管理費、修繕積立金、駐車場使用料、駐輪場使用料、専用庭使用料、雑収入などがあります。収支報告書では、どの収入がいくら入ったかを分けて記載します。管理費会計と修繕積立金会計を分けている場合は、混ざらないように注意します。

見方としては、予算どおり入金されているか、未収金が増えていないかを確認します。駐車場の空きや滞納があると、予定より収入が少なくなる場合があります。金額が予算と大きく違う場合は、理由をメモしておくと総会で説明しやすくなります。

2. 支出は日常管理と臨時支出を分ける

支出には、管理委託費、清掃費、設備点検費、保険料、水道光熱費、通信費、修繕費、備品費などがあります。日常的に発生する費用と、臨時で発生した費用を分けて見ると、管理状況が分かりやすくなります。

書き方では、細かすぎる費目にすると読みにくくなり、まとめすぎると内容が分からなくなります。理事会で管理しやすい範囲に整理し、必要に応じて内訳資料を別に保管します。修繕費が大きい場合は、どの工事に使ったかを説明できるようにしておきます。

3. 予算との差を確認する

収支報告書で重要なのは、予算と実績の差です。予算より支出が増えている費目、逆に使っていない費目を確認します。差額が大きい場合は、単発の支出なのか、今後も続く傾向なのかを分けて考えます。

たとえば、電気料金や保険料の上昇は翌年度予算にも影響する場合があります。一方、単発の修繕や備品購入は、次年度も同じ金額を見込む必要がないことがあります。予算との差を確認することで、翌年度の予算作成にもつながります。

4. 残高と証拠資料を合わせる

収支報告書の最後には、現金や預金の残高を確認します。通帳残高、会計帳簿、収支報告書の数字が合っているかを見ることが大切です。管理会社が会計処理を行っている場合でも、理事会として確認する姿勢は必要です。

領収書、請求書、振込記録、契約書などの証拠資料も保管します。すべてを総会資料に載せる必要はありませんが、質問が出たときに確認できる状態にしておくと安心です。監査担当者が確認しやすいよう、費目ごとに整理しておくと実務が楽になります。

監査を受ける前には、収支報告書、通帳、請求書、領収書、理事会承認の記録をそろえます。監査担当者が短時間で確認できるよう、費目ごとに資料を並べると実務が楽になります。疑問点が出た場合は、総会前に会計担当や管理会社へ確認しておくと説明が安定します。

収支報告書は、次年度の予算づくりにも使います。支出が増えた費目、使わなかった費目、毎年同じように発生する費用を確認すれば、翌年度予算の精度が上がります。単年度の結果として見るだけでなく、管理組合のお金の傾向を見る資料として扱うと、理事会の判断材料になります。

まとめ

収支報告書は、収入、支出、予算との差、残高を順番に見ると理解しやすくなります。書き方では、費目を整理し、増減理由と証拠資料を残しておくことが、総会での説明につながります。

収入欄では、管理費、修繕積立金、駐車場使用料、駐輪場使用料、専用使用料、雑収入を分けます。外部貸出収入や基地局収入など、通常の組合員負担と性質が異なる収入がある場合は、別行で表示すると後から確認しやすくなります。月次報告では、当月収入、累計収入、予算残を並べると、年度末の着地が見えやすくなります。

未収金がある場合は、収支報告書だけでなく未収金一覧で対象月数を確認します。総会資料に個人名を載せる必要はありませんが、理事会では金額、発生期間、管理会社の督促状況を把握しておくことが大切です。

支出欄は、日常管理費、保守点検費、水道光熱費、保険料、修繕費、事務費、予備費のように、住民が見ても意味を追える粒度にします。例えば「雑費」が大きくなると内容が見えにくいため、継続して発生する費用は翌年度から独立した費目にすることも検討します。臨時支出は、工事名や発生日を摘要欄に入れると説明しやすくなります。

差額を見るときは、金額差と割合の両方を確認します。予算10万円に対して5万円増えた費目と、予算300万円に対して5万円増えた費目では、意味が違います。理事会では、差額が大きい費目、割合が大きい費目、毎年増えている費目を色分けすると、総会で説明すべき項目を絞りやすくなります。予算未消化の費目は、必要な管理を先送りしていないかも見ます。

残高確認では、収支報告書の残高、通帳残高、会計帳簿の残高を照合します。複数口座がある場合は、管理費口座、修繕積立金口座、定期預金を分けて表示します。総会資料としては、前年実績、当年度予算、当年度実績、差額、主な増減理由を並べると、質問が出やすいポイントを先に説明できます。

収支報告書を作る側は、総会で質問されやすい費目を先に把握しておきます。管理委託費、保険料、水道光熱費、修繕費、雑収入、未収金は質問が出やすい項目です。増減理由を一文で説明できるよう、管理会社から聞いた内容を理事会メモに残します。

見方の順番は、収入合計、支出合計、当期差額、予算との差、残高、未収金の順にすると整理しやすくなります。赤字か黒字かだけを見るのではなく、予定していた支出がまだ出ていないだけなのか、継続的に収入不足なのかを分けます。単年度の黒字でも、大規模修繕や設備更新を先送りしているだけなら安心材料とは限りません。

監査や総会に備えるには、収支報告書の数字と証拠資料をつなげておくことが重要です。請求書番号、支払日、振込記録、理事会承認日を追える状態にしておけば、質問が出たときに資料を探す時間を減らせます。会計資料は毎年同じ並びにして保管すると、理事が交代しても確認しやすくなります。

収支報告書の摘要欄は、総会での説明を助ける重要な欄です。「修繕費」だけではなく、どの場所のどの工事か、緊急対応か計画修繕か、理事会承認済みかを短く書きます。摘要が整っていると、翌年度の理事が過去支出を確認しやすくなります。

決算時には、収支報告書と予算案をつなげて見ることも大切です。当年度に増えた費用が翌年度も続くのか、単発で終わるのかを分けます。継続費用なら翌年度予算へ反映し、単発費用なら備考で理由を残します。この整理がないと、予算案が前年踏襲になり、実態とずれやすくなります。

この記事について 本記事は、管理組合の一般的な実務整理を目的としています。個別の判断は、各マンションの管理規約・使用細則・総会決議・管理委託契約等により異なります。重要な判断では、管理会社、マンション管理士、弁護士等への確認も検討してください。
最終確認日: 2026年6月20日 / 参照: 区分所有法、マンション標準管理規約(国土交通省)

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