管理組合の予算は、総会で承認を受ける重要な資料です。前年の数字をそのまま写すだけでは、値上げや支出増があったときに説明しにくくなります。
管理組合の予算は、前年度実績を起点に、固定費、変動費、臨時支出、予備費を分けて作ると整理しやすいです。総会では「何に使う予定か」「前年と何が違うか」「不足が出ないか」を説明できる形にしておくことが大切です。
予算作成では、まず前年度の決算書を確認します。管理費収入、駐車場収入、雑収入などの収入と、清掃費、管理委託費、保険料、点検費、水道光熱費などの支出を一覧にします。前年予算ではなく、実際に使った金額を見ることが大切です。
予算と実績に差が大きい費目は、理由を確認します。一時的な支出だったのか、今後も続く支出なのかで翌年度の扱いが変わります。たとえば、保険料や電気料金の上昇は翌年度も続く可能性がある一方、単発の備品購入は毎年入れる必要がない場合があります。
管理組合の支出は、毎年ほぼ発生する固定費と、状況によって変わる変動費に分けると見通しが立てやすくなります。管理委託費、点検費、保険料は固定費に近く、修繕費や雑費は年によって動きやすい費目です。
固定費は契約書や見積書を確認し、契約更新や単価改定がないかを見ます。変動費は過去数年の平均を参考にしつつ、設備の古さや予定されている作業を反映します。前年と同額にする場合でも、理由を一言メモしておくと、総会で質問が出たときに答えやすくなります。
予算では、収入を多めに見積もると後で不足が出やすくなります。管理費収入は戸数と月額から計算できますが、滞納がある場合は回収状況も確認します。駐車場や駐輪場の収入は、空き区画があると予定より少なくなる場合があります。
雑収入や利息収入は大きく見込まず、確度の高いものだけを入れる方が説明しやすいです。収入が不安定な場合は、支出側を抑える案や予備費の考え方も同時に整理します。予算は希望額ではなく、管理組合が現実的に動ける範囲を示す資料です。
予算書は、会計に詳しい人だけが読む資料ではありません。初めて理事になった人や区分所有者にも伝わるよう、前年予算、前年実績、今年度予算を並べると変化が分かりやすくなります。増減が大きい費目には、短い説明欄をつけます。
総会では、細かな数字をすべて読み上げるより、増減の大きい項目、臨時支出、収支の見込みを中心に説明します。質問が出た場合は、決算書や契約資料に戻って確認できるよう、根拠資料を理事会内で保管しておくと安心です。
予算案を作った後は、理事会内で一度読み合わせを行います。数字の転記ミス、前年実績との大きな差、説明不足の費目を確認し、総会資料に出す前に修正します。会計担当だけに任せるのではなく、複数の理事で見ることで、実務上の見落としを減らせます。
さらに、予算案には翌年度の理事会が使いやすい余白を残す考え方も必要です。予備費をどの程度置くか、急な小修繕をどの費目で扱うかを決めておくと、年度途中の判断がしやすくなります。予備費を使った場合は、次の理事会で内容を確認し、総会で説明できるよう記録します。
管理組合の予算は、前年実績を起点に、固定費・変動費・臨時支出を分けて作ります。総会で説明できる予算にするには、増減理由と根拠資料をそろえておくことが大切です。