管理組合の教科書

総会議案の作り方|理事会で決めた内容を分かりやすく伝える基本

最終更新: 2026年6月21日

総会の議案は、管理組合の意思決定を形にする大切な資料です。内容が分かりにくいと、住民から質問が増え、議論が進みにくくなることがあります。

結論

総会議案は、提案理由、決議内容、金額、実施時期、影響範囲を整理して作ります。理事会で決めたことを、住民が判断しやすい形に直すことがポイントです。

本文

1. まず議案の目的を明確にする

議案を作る前に、その議案で何を決めたいのかを整理します。工事の承認、予算の承認、管理会社変更、規約改定、役員選任など、目的によって書き方が変わります。

目的が曖昧なまま文章を作ると、総会で「結局何を決めるのか」が伝わりにくくなります。議案名には、決議したい内容が分かる言葉を入れます。例として「大規模修繕工事実施承認の件」「管理委託契約更新承認の件」のようにします。理事会で確認するときは、承認を求める事項、報告にとどめる事項、理事会へ委任する事項を分けておくと、議案本文の焦点がぶれにくくなります。

議案の目的を確認するときは、総会で承認を得た後に何を実行するのかまで書き出します。契約を締結するのか、工事を発注するのか、予算を使える状態にするのか、理事会に細部を任せるのかで、必要な文言が変わります。実行後に議事録を見返したとき、承認範囲が分かるかという視点で点検すると、議案の不足に気づきやすくなります。

2. 提案理由を書く

議案には、なぜその提案が必要なのかを記載します。建物の劣化、契約期限、費用の見直し、住民要望、過去の理事会での検討経緯など、判断材料になる背景を書きます。

提案理由は長すぎる必要はありません。住民が読んだときに「なぜ今この議案なのか」が分かる程度に整理します。理由には、前回総会からの経緯、理事会での検討回数、見積取得の状況、住民アンケートの有無、緊急性や期限を入れると、判断材料として使いやすくなります。必要に応じて、別紙資料や見積書、比較表を添付します。

提案理由の書き方で避けたいのは、理事会の結論だけを先に示して、検討経緯が読めない状態にすることです。住民は理事会の議論を毎回見ているわけではないため、いつから検討したのか、何社から見積を取ったのか、どの資料を確認したのかを短く示します。反対意見が出そうな議案では、理事会で検討した代替案も一文で触れると、判断材料が増えます。

3. 決議内容は具体的に書く

総会で承認を求める内容は、できるだけ具体的に書きます。金額、契約先、工事範囲、実施時期、理事会への委任範囲などが曖昧だと、後日の運用で困ることがあります。

例えば工事議案では、工事名、概算金額、支払原資、工事時期、契約手続きの進め方を記載します。管理会社変更の議案では、候補会社名、契約開始予定日、委託費、主な業務範囲、旧管理会社からの引き継ぎ時期を入れます。詳細を理事会に委任する場合は、金額の上限、契約条件の調整範囲、実施時期の変更範囲など、どこまで委任するのかも分かるようにします。

決議内容は、議案本文と添付資料のどちらに書くかも意識します。本文には、承認対象、金額の上限、支出科目、契約先、実施時期、理事会への委任範囲を置き、添付資料には見積比較、写真、工程表、候補会社の説明を置くと読みやすくなります。本文の数字と添付資料の数字がずれると混乱するため、総会前に同じ金額になっているかを確認します。

議案本文を作った後は、理事会内で「この議案が可決されたら翌日から何ができるか」を確認します。工事なら発注準備、契約なら契約書調整、役員選任なら新体制への引き継ぎなど、実行手順と議案文がつながっているかを見ます。実行手順が説明できない場合は、議案の承認範囲や委任範囲が不足している可能性があります。

4. 住民目線で読み直す

理事会では分かっている内容でも、住民には初めて見る情報かもしれません。専門用語が多い場合は、補足説明を入れると理解しやすくなります。

特に費用負担や生活への影響がある議案では、影響範囲を丁寧に書きます。工事期間、騒音、立入り、駐車場利用、支払い方法など、住民が気にする点を先に整理しておくと総会の進行が落ち着きます。高齢者、賃貸住戸、外部所有者など、資料だけで判断する人もいるため、専門用語には短い補足を入れ、添付資料のどこを見ればよいかを本文内で示します。

5. 添付資料と議案本文の役割を分ける

総会資料では、議案本文にすべてを書き込もうとすると読みにくくなります。議案本文には決議したい内容を簡潔に書き、細かい見積書、比較表、写真、経緯説明は添付資料に分けると整理しやすくなります。

例えば工事議案では、本文に「工事名、概算金額、支出科目、実施予定時期、理事会への委任範囲」を記載し、添付資料に見積比較表や劣化写真を入れます。管理会社変更の議案では、本文に候補会社と契約開始時期を入れ、添付資料に比較表や選定理由を載せます。

議案を作成した後は、理事以外の人が読んでも内容を追えるかという目線で確認します。質問が出そうな点を先に補足しておくと、総会当日の説明が進めやすくなります。

6. 議事録に残ることを意識して書く

総会議案は、当日の説明資料であると同時に、後日確認される記録の土台にもなります。数年後の理事会が見ても、何を承認したのか分かるように書くことが大切です。

金額や実施時期が変わる可能性がある場合は、理事会にどの範囲まで任せるのかを明確にします。曖昧なまま承認を取ると、後から「そこまで認めた覚えはない」という誤解につながることがあります。

議事録に残ることを意識すると、議案本文の曖昧さを減らせます。たとえば「必要な修繕を行う」だけでは範囲が広すぎるため、対象箇所、金額上限、実施予定時期、契約手続きの進め方を入れます。数年後の理事会が議事録を見たときに、何を承認したのかを説明できる程度まで具体化しておくことが大切です。

まとめ

総会議案は、目的、提案理由、決議内容、金額、実施時期を分かりやすく整理して作ります。理事会の判断を住民が理解できる形にすることが、円滑な総会運営につながります。

この記事について 本記事は、管理組合の一般的な実務整理を目的としています。個別の判断は、各マンションの管理規約・使用細則・総会決議・管理委託契約等により異なります。重要な判断では、管理会社、マンション管理士、弁護士等への確認も検討してください。
最終確認日: 2026年6月20日 / 参照: 区分所有法、マンション標準管理規約(国土交通省)

書式・テンプレートをすぐ使いたい方へ

理事会の年間運営、役員の役割整理、引き継ぎで使える書式をまとめたパックをnoteで販売しています。

理事会 年間運営・役員引き継ぎマニュアル(¥1,000)を見る

まとめて揃えるなら管理組合 完全実務パック 全10冊(¥9,800)もあります →

PR

管理組合の実務に役立つ書籍をAmazonで探す

Amazonで関連書籍を見る