管理組合の教科書

理事のなり手不足への対応|輪番制・外部委託・報酬見直しの選択肢

最終更新: 2026年7月7日

管理組合で理事のなり手が不足すると、総会前の候補者調整や理事会運営が重くなります。原因を個人の意識だけに求めず、輪番制、外部管理者方式、理事報酬、選任要件を分けて整理することが現実的です。

結論

理事のなり手不足は、誰かを説得する話だけでなく、役員制度と業務量の見直し課題です。まず管理規約と過去の運用を確認し、輪番制の整備、外部管理者方式の検討、報酬の有無、選任要件の緩和を順番に比較します。

なぜ理事のなり手不足が起きるか

なり手不足の背景には、高齢化、単身世帯や賃貸化の増加、共働き世帯の増加、理事会業務への不安などがあります。特定の住民だけの問題ではなく、マンション全体の居住実態が変わった結果として起きることがあります。

また、理事の仕事が見えないままだと、実際以上に重く受け止められます。会議回数、管理会社との役割分担、理事長と一般理事の負担差、緊急対応の有無が整理されていないと、候補者は判断しにくくなります。

最初に行うべきことは、辞退理由を責めることではありません。管理規約、役員名簿、輪番表、過去の総会議案、理事会議事録を確認し、どこで詰まっているのかを見える形にすることです。

1. 輪番制の運用を見直す

輪番制は公平感を出しやすい一方で、対象範囲や免除規定があいまいだと不満が出やすくなります。区分所有者全員を対象にするのか、居住者だけを対象にするのか、法人所有や賃貸中住戸をどう扱うのかを確認します。

免除や延期を認める場合は、年齢、病気、介護、長期不在などをどこまで考慮するかを理事会だけで抱え込まず、規約や細則、過去の総会決議と照らします。あいまいな個別判断が続くと、引き受けた人ほど不公平に感じることがあります。

輪番表を作るときは、次年度候補者へ早めに案内し、理事会の回数、主な業務、管理会社が担う業務を説明します。業務の全体像を示すことで、引き受ける前の不安を減らしやすくなります。

2. 外部管理者方式・第三者管理を検討する

理事会の担い手が継続的に不足する場合、外部管理者方式や第三者管理の検討が選択肢になります。管理会社や外部専門家に管理者業務や理事会機能の一部を委ねる考え方ですが、導入範囲、費用、監視体制、利益相反の確認が重要です。

この方式は、理事の負担を軽くできる可能性がある一方、管理組合側のチェック機能をどう残すかが課題になります。契約内容、報告頻度、通帳・印鑑の管理、重要工事の承認手順、総会への説明方法を整理します。

個別の会社や専門家の選定は、管理組合ごとの事情で変わります。本記事では特定業者の紹介は行わず、検討時に見るべき観点の整理にとどめます。

3. 理事報酬の導入を検討する

理事の負担が大きい場合、報酬を設ける案が出ることがあります。報酬は金額だけでなく、対象者、支払時期、会計処理、総会説明、見直し時期を合わせて考える必要があります。

導入を検討する前に、現在の理事業務を棚卸しします。会議出席、資料確認、住民対応、工事対応、会計確認などを分けると、報酬で対応するべき負担なのか、業務削減で対応するべき負担なのかを比較しやすくなります。

詳しい整理は、関連記事の管理組合の理事報酬はありかなしかも確認してください。

4. 選任要件の緩和を確認する

理事の候補者が限られる場合、賃借人、親族代理、同居家族、法人所有住戸の担当者などを役員にできるかが論点になることがあります。ただし、可否は管理規約や細則の定めによります。

一般論としては、区分所有者を役員資格の中心に置く管理組合が多い一方で、実態に合わせて役員資格を整理する例もあります。緩和を検討する場合は、議決権との関係、責任範囲、個人情報の取扱い、総会での説明をセットで確認します。

規約変更が必要になる場合は、理事会だけで決めず、総会議案として説明できる資料を作ります。法的な判断が必要なときは、管理会社、マンション管理士、弁護士などへの確認も検討します。

使い方

理事会資料に使える文案例

標準文例

当管理組合では、次期役員候補者の確保が課題となっています。理事会では、輪番制の運用、役員業務の軽減、報酬制度の有無、外部管理者方式の可能性を整理し、総会で説明できる選択肢を検討します。

丁寧な文例

役員就任に不安を感じる方が増えている状況を踏まえ、理事会では業務内容と負担の見える化を進めます。あわせて、管理規約に沿った輪番制の見直しや、必要に応じた外部支援の活用について、住民の皆さまに説明できる形で整理します。

短い文例

理事のなり手不足に対応するため、役員業務の軽減策、輪番制の見直し、報酬制度の要否を理事会で検討します。

NG例

注意点

よくある質問

Q: 理事が決まらない場合、総会は開けませんか。

A: 状況により対応は異なります。まず管理規約、現任理事の任期、補欠選任の定め、総会議案の作り方を確認します。

Q: 管理会社に理事会運営を任せることはできますか。

A: 委託できる業務範囲は契約内容や方式により異なります。管理組合側の確認機能をどう残すかを含めて検討します。

Q: 理事を断る人が多いとき、最初に何をしますか。

A: 辞退理由を責める前に、業務量、会議回数、輪番表、免除規定、管理会社との役割分担を整理します。

まとめ

理事のなり手不足は、管理組合の運営を止めないために早めに整理したい課題です。輪番制を整え、業務を軽くし、必要に応じて外部管理者方式や報酬制度を検討します。どの方法でも、管理規約、総会説明、記録化をセットで進めることが大切です。

この記事について 本記事は、管理組合の一般的な実務整理を目的としています。個別の判断は、各マンションの管理規約・使用細則・総会決議・管理委託契約等により異なります。本記事の内容により生じた損害等について、当サイトは責任を負いません。重要な判断では、管理会社、マンション管理士、弁護士等への確認も検討してください。
最終確認日: 2026年7月7日 / 参照: 区分所有法、マンション標準管理規約(国土交通省)

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