最終更新: 2026年7月9日
ベランダや窓際での喫煙による煙が隣戸の窓・換気口から入り込む、共用廊下やエレベーターホールで喫煙されるといった苦情は、多くのマンションで規約に喫煙そのものを禁止する規定がないまま発生しやすいトラブルです。ここでは、管理組合が苦情を受けたときの初動対応から、規約・細則の整備を検討する場合の考え方までの一般的な流れを整理します。
喫煙トラブルは、既存の規約に禁煙規定がない限り「今すぐやめさせる」明確な権限を管理組合が持たないケースが大半です。まずは記録を残し、全戸向けの一般的な注意喚起で様子を見る段階的な対応が基本になります。当事者同士を直接対決させず、繰り返される場合や実害が大きい場合に規約・細則の改正を検討するという順序を踏むことで、居住者間の感情的な対立を避けながら現実的な対応を進めやすくなります。
管理組合に寄せられる喫煙関連の苦情には、いくつかの典型的なパターンがあります。専有部のベランダや窓際で吸った煙が、開けた窓や換気口を通じて上下左右の住戸に流れ込むケース、共用廊下やエレベーターホール、駐輪場など共用部での喫煙が他の居住者の目に触れるケース、専有部内での喫煙の臭いが配管や換気ダクトを通じて他住戸に伝わるケースなどです。ベランダ喫煙は専有部内での行為であるため、共用部での喫煙とは管理組合が関与できる範囲が異なる点を、対応を検討する前に整理しておく必要があります。
特定の住戸を名指しして直接注意しに行くことは、慎重に判断すべき対応です。煙の発生源の特定は難しいことが多く、誤った相手に注意してしまうと新たなトラブルを招きます。初動としては、苦情の内容(発生時間帯・頻度・具体的な被害状況)を記録し、管理会社へ報告した上で、発生源が本当に特定の住戸か、複数の住戸にまたがる可能性がないかを確認する、という順序が実務的です。理事個人の判断で当事者に直接注意することは避け、理事会として対応方針を決めてから動く方が、後々のトラブルを避けやすくなります。
初回の対応としては、個人を特定しない全戸向けの掲示・注意喚起が基本です。「特定の部屋」を名指しする書き方は避け、「ベランダでの喫煙について」といった形で、居住者全体へのマナー啓発として出すと角が立ちにくくなります。掲示文には、煙が近隣住戸に流れ込む可能性があること、窓を閉めた状態での喫煙や換気の工夫を呼びかける内容を添えると、悪意なく吸っていた居住者への配慮喚起としても機能します。特定の相手を非難するような強い表現は、かえって態度を硬化させることがあるため避けるのが無難です。
掲示による注意喚起を重ねても改善が見られず、苦情が繰り返される場合は、使用細則にベランダ喫煙や共用部での喫煙に関する規定を新設することが選択肢になります。ただし、専有部での喫煙そのものを制限する規定は区分所有者の生活に関わる内容であるため、細則の新設・改正には総会決議が必要です。また、規定を設けたとしても違反した場合の実効性ある対応(注意・指導の手順)まで含めて検討しておかないと、規定だけが形骸化してしまうことがあります。近隣への煙の影響が社会通念上の受忍限度を超えるかどうかは個別の事情によって判断が分かれる領域であり、深刻なトラブルに発展した場合は、管理組合単独で判断せず弁護士等の専門家へ相談することが望まれます。
共用廊下やエレベーターホール、駐輪場など共用部での喫煙は、管理組合が管理する場所での行為であるため、専有部(ベランダ含む)での喫煙よりも規約・細則で直接的にルール化しやすい領域です。すでに共用部を「禁煙」とする規定がある管理組合も多く、規定がない場合でも、共用部の使用ルールとして喫煙禁止・喫煙コーナーの設置などを検討しやすいのが特徴です。ベランダ喫煙のように専有部内での行為に踏み込む規定より、合意形成のハードルが低い傾向があります。
Q: 隣室のベランダ喫煙の煙で困っています。管理組合はすぐに対応してくれますか。
A: 規約に禁煙規定がない場合、管理組合が強制的にやめさせることは難しいのが実情です。まずは苦情内容を管理会社へ伝え、全戸向けの一般的な注意喚起から始める対応が一般的です。
Q: ベランダでの喫煙を禁止する規定を作ることはできますか。
A: 使用細則への新設は可能ですが、専有部での生活に関わる内容のため総会決議が必要です。合意形成に時間がかかることを見込んで、早めに理事会で検討を始めることをおすすめします。
Q: 共用廊下での喫煙はすぐに禁止できますか。
A: 共用部は管理組合が管理する場所のため、専有部での喫煙制限よりも規約・細則でルール化しやすい領域です。ただし新設・改正には手続きが必要なため、管理会社と相談しながら進めるのが実務的です。
喫煙トラブルは規約に明確な規定がないまま発生しやすく、管理組合が一方的に強制できる対応は限られています。記録を残し、まずは全戸向けの掲示で様子を見て、改善が見られない場合に規約・細則の整備を検討するという段階的な進め方が、居住者間の対立を避けながら現実的な解決につなげるポイントです。
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