管理組合の教科書

管理組合の通帳・印鑑の管理方法

最終更新: 2026年7月26日

管理組合の通帳・印鑑の管理は、横領・使い込みのリスクに直結する実務です。誰が何を持ち、誰がチェックするかを分けておくことが、金額の多寡にかかわらず最初の防御線になります。

結論

通帳・印鑑の管理で最優先すべきは、同一人物が通帳と印鑑の両方を単独で保管しない体制です。理事長・会計担当・管理会社のいずれか1人が両方を握っている状態は、悪意がなくても不正の温床になりやすいと指摘されています。保管者を分け、出納の都度、第三者が金額と使途を確認する仕組みを作ることが実務上の要になります。

通帳と印鑑を分けて持つ理由

通帳と印鑑(または銀行届出印)を同一人物が保管すると、その人物だけで出金が完結してしまいます。理事長が通帳、会計担当が印鑑というように分けて保管すれば、出金のたびに複数人の関与が必要になり、不正の抑止と早期発見につながります。管理会社に通帳・印鑑を預ける「管理者保管方式」を採用している組合もありますが、その場合も管理組合側で定期的に残高を照合する体制が必要です。

収納代行方式と管理者保管方式の違い

管理費等の徴収・保管方法には、管理会社の口座を経由せず管理組合名義口座へ直接入金される「収納代行方式」と、管理会社が管理組合の通帳・印鑑を預かって出納を代行する「管理者保管方式」などがあります。どちらの方式かによって、管理組合が直接チェックすべき範囲が変わるため、現在の契約がどちらに当たるかをまず確認します。

月次で確認したいこと

理事会または会計担当は、毎月の通帳記帳またはネットバンキングの取引明細を、管理会社から提出される収支報告書と突き合わせます。入金額が管理費等の請求額と一致しているか、出金が理事会承認済みの支出と一致しているかを確認し、差異があれば速やかに管理会社へ照会します。

次期役員への引き継ぎ

理事の交代時は、通帳・印鑑(またはネットバンキングのID・パスワード)の保管者と保管場所、直近の残高、直近の出納記録を書面で引き継ぎます。パスワードを口頭伝達だけで済ませると、次期理事が確認できない期間が生じるおそれがあります。

よくある質問

Q: 通帳・印鑑はどちらが保管すべきですか。

A: 理事長・会計担当・管理会社のいずれか1人に集中させず、複数人で分担する体制が望ましいとされています。具体的な分担方法は管理規約や管理委託契約の内容によって異なります。

Q: ネットバンキングの場合も同じ考え方でよいですか。

A: 出金権限を持つ人と、明細を確認する人を分けるという考え方は同じです。ID・パスワードの管理方法についても複数人でのチェック体制を検討してください。

まとめ

通帳・印鑑の管理は、金額の大小にかかわらず横領・使い込みリスクに直結する実務です。保管者を分散させ、月次で残高と出納を照合する体制を整えることが基本になります。個別の契約方式・体制の適否は、管理会社または専門家に確認してください。

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このページについて本ページは、管理業務主任者資格保有者による実務経験25年超の知識をもとに、管理組合の一般的な運営知識として作成しています。個別の法的判断・税務判断・会計処理の代替ではありません。